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健康と禁煙の情報

禁煙 Q&A

Q&Aのページは、禁煙に関する重要な質問や、過去の禁煙マラソンにおいてランナーからの質問に対し、高橋主宰や医師団アドバイザーが答えたものをまとめてあります。


経過知識症状方法|意義|ニコチンパッチ&ガム


意義


Q どうせ短い人生、好きなことしてもいいじゃないかと思いますが。

A あーあ、たばこが原因でおこる病気は、楽でないものばかりということをあまりご存じないのでしょうか。好きなことをしていられなくなる、これが困るところです。今日私の禁煙外来に来た69歳のおじいさんも、同じことを言いながら、たばこが原因の喘息で離れても聞こえるほどぜーぜー。酸素を吸入しながら、たばこ吸いたい!在宅酸素療法ですからほとんど自宅から出られません。こうならない保証がないから、こまりますよね。もっと困るのが脳梗塞。これもたばこが大いにに関係します。それに、今は脳梗塞でなくなるのは、脳梗塞のうち10人に一人、つまり残りの9人は後遺症をかかえて生きなければならないんです。もちろん、たばこがまったく体に悪影響しないひともなかにはいて、90歳で60本ということもあるのですが、それは生き残っているから目立つので、はるかにはるかに多くの人が、たばこからくる病気を、それとは知らずに苦しんでいます。好きなことをするのもよいのですが、周囲の迷惑になりそうな病気は、避けられるものなら避けたほうがよいのではないでしょうか。人生、短いとは限りませんから。

Q 地球上から煙草が消えないのは何か魅力があるのだ。逆らうのは無謀というものだろう。

A 地球上から煙草が消えないのは、人間がニコチン中毒にかかりやすいからでしょう。そして中毒を魅力と勘違いさせるところ。それが中毒というものの本質です。でも、かからずに過ごしている人、かかっても中毒から脱却する人がこれまた大変な数ですよね。何しろ、今の日本では、おとなのうちたばこを吸っているのは35%だけ、要するに少数派です。たまたま、たばこの中毒にかかっただけですから、脱却できます。そして脱却した人たちは、ただお金を燃やしていただけとはっきり言い切ります。今そのように思えないのはニコチンのせいです。ニコチンの罠からの生還を、心からお祈りしています。

Q 禁煙してたった1週間足らずですが、完走したらまた吸おう、と心の片隅で思っていてもいいのでしょうか?

A 正直でよいと思いました。今の時期、そう思っている人も多いはずです。あんなになれ親しんできたたばこと思いきって別れた、それだけでもとってもすごいことですもの。
たばこを吸うのは、ものすごく簡単。だから、やめてみて、心地よくなかったら、吸えば良いだけのこと。ただ、そうするためには、「やめてみた」と言えるところまで、つまり、吸わない状態にひとまず慣れるところまで、いっしょに行きましょうよ。禁煙を続けるのが良いのか悪いのかの判断はそこから先じっくりと自分で選んでくだされば良いのですから。

Q いつも禁煙しようとは思うのですが、途中で挫折します。そしてその度に、禁煙くらいでこんな苦労をするのはばからしいと思ってしまいます。どうしたら良いでしょうか?

A 人生の目的を禁煙に置くと、ばからしくなりますよね。山岳部にいた人から、こんな話を聞きました。学生時代山岳部で夏山合宿(乏しい食事で、重い重い荷物を背負って長い長い距離を歩く)をやると、バテる者とバテない者とが明確に分かれる。バテない者には共通点があって、鼻の頭からぽたぽた汗を流し、歯を食いしばって登りながらも、「これは俺の最終目標じゃない。俺の山はヒマラヤのジャイアンツ(8000メートル峰)だ。いまはそのための訓練としてわざと苦しい思いをしているんだ」と心の中で思っている。ところが、バテる人間は、これまでボッカ訓練やら個人山行やらをこなし、その他いろいろやって、この夏山合宿が1年間の山登りの集大成だとのぞんだ者たちであったということです。
ヒマラヤ組の、わざと苦しい思いをしているんだぞ、というこの苦しさを自分のものとして「楽しもう」という気になれれば、どんな訓練でもばてないということでしたが、禁煙も同じだと思います。禁煙それ自体も大きな目的ではありますが、その後ろというか、背景に、もっと大きな目標を以っている人は強い!!禁煙してなにかをご褒美に買う!というのでも良いのですが、もっと大きな目的があれば、さらに良いですね。ただ、もう一言つけ加えますと、今は大きな目的は見つからなくても良いのです。不思議なもので、禁煙してみたら、もっと大きな大切なものがすっと見渡せるようになります。深く、人生を考えることができるようになります。そこまで、とにかくやってみませんか。

Q 「この年代で、今更止めてどうする」と言う気持をどう押さえれば良いのでしょうか?

A この年代で、というのは、少し年配の方なら、みなさん考えますね。でも逆の人がいらっしゃいましたよ。この年だから挑戦する、とおっしゃっていました。すごいなあ、と思いましたね。
私の禁煙外来でたばこをやめた最高年齢は89歳のおじいさんです。喘息持ちの方でしたが。禁煙して咳が減ったこともうれしかったけれど、なにがうれしいといって空気があたらしい、目に触れるものがすべて新しい、この感覚が味わえたことが一番うれしかった、生きていてよかった、としみじみおっしゃいました。ここまで達観できるのは、人生経験の深さだなと思いました。
禁煙というのは結婚と同じで、20代には20代の、60代には60代の、そして80代には80代の禁煙があるように思います。御自身の年齢に見合った収穫があるのが禁煙です。どうそ実りを楽しみに、禁煙をお続けくださいますよう。

Q 禁煙してから2週間、吸ってしまいやしいかと緊張してばかり。5年命が短くなったって、思いっきり吸って短くなるんだったらいいんじゃないでしょうか。

A そうですね。たばこって不思議です。吸っているときは、やめた人が目について、やめて見たら吸ってる人に目が行きます。そして、禁煙を後悔する時期が、ほとんどの人にあるんですよね。
でもね、いつまでも緊張は続きませんよ。今は、ほんとうに苦しいけれど、だんだん、緊迫感は薄れて行きますし、人生の一こまとしてしみじみ思い出せる日がきますから。
それと、たばこで健康に困ることが出るとしたら、寿命にゆきつく前にでることが多いですね。脳梗塞とか、慢性気管支炎とか。あまり楽とは言えないと思いました。長いか長くないかはわかりませんけれど、良い人生を過ごしたいですものね。

Q 人生のなかで、禁煙ほどたいへんなものはないと、もう逃げ腰になりそうです。こんな苦労をするくらいなら、禁煙しなければ良かったと思うこの頃です。

A そうですね。禁煙しなければ良かったのか、最初に喫煙しなければ良かったのか。いずれにせよ、今はもう禁煙を始めてしまったのですから、度胸を据えましょう。ちょっと考え方を変えれば良いのです。
大人が普通に生活するということは、ものすごく緊張する場面や、もう逃げ出したいという場面、どうしていいかわからないといったことをいくつも体験してますよね。その一つを思い出してみてください。それでも、なんとかやってきましたね。そう、なんとか、なるんです。そのときの孤独感、絶望感に比べたら、今の禁煙くらい、なんとかなりそうだと思っていただけませんでしょうか。

Q 私は、何か意志決定を迫られる時、特に人間関係関与するときに強烈な喫煙欲求が始まります。灰皿から吸殻を拾うこともあります。こんな私でも禁煙できるのでしょうか?

A ここまでおわかりなんですから、もう禁煙は目の前ですよ。禁煙はながいトンネルを抜けるのに似ています。トンネルの出口がカーブになっていて、ご自分が出口のすぐそばにいるのにまだまだ出口が遠いような絶望感に襲われます。出口はもう少しですよ。あと1歩、前へ出てください。出口の光が見えてきますから。それには、まずたばこ無しでてきぱき意志決定している自分を心に思い描いてください。次に、かんたんな意志決定をしてみます。その時、意志決定する前に、ちょっと身体を動かしましょう。髪の毛をかきむしる、奥歯をかみしめる、なんでも結構です。ほら、1回意志決定できますでしょ。次も大丈夫です。そして、決定したことを、いつまでも思い返さない。ここだけ注意すれば、たばこ無しで意志決定はできます。意志決定にたばこが必要と思うのは、緊張したときに吸いたくなる条件反射です。身体を動かし、暖かい飲み物を飲み、すこし身体にリラックスを覚えさせて、新しい条件反射を作りましょう。

Q 今まで一度禁煙したことがあります。入院して、禁煙を余儀なくされた時でした。そのあとたばこを吸ってくらくらするほどうまかった。今度のタバコはきっとうまいのではないかとずーっと喫煙していたのですが、あのくらくらするうまさはそのあとありません。どうしたのでしょうか?

A もしかしたら、今度のタバコはきっとおいしいのではないかと、思って吸っていらしたのですね。
良いところに気付かれましたね。タバコを吸っておいしいというのは、イメージというか、脳の中の反射というか。だいたい、はじめてタバコを吸ったときこんなもん、よく吸うなあ、というのが、吸い初めの記憶でしょう。反射ができて、はじめておいしくなる。ほんとうに美味しいのとはち がう。微妙な、タバコの本質ですね。

Q 「ニコチンが記憶力を維持する。」といった内容の記事が、新聞に出ていたような気がしますが、たばこと記憶力の関係について教えてください。

A ニコチンの作用として、神経の活動を促進するものがあります。神経と神経がつながっている接点をシナプスと言いますが、神経の中を刺激(電気的刺激です)が伝わってきて、シナプスに達すると、そこで次の神経に、その電気的刺激を伝えます。この受け渡しに、アセチルコリンという物質が関与しています。ニコチンは、このアセチルコリンの作用を助ける作用があります。ただ、タバコの煙にはたしかにニコチンが含まれていますが、その他の成分も含まれています。特に困るのは一酸化炭素で、血液中の酸素運搬役のヘモグロビンと強固に結合して、血液の中から酸素を追い出してしまいます。血液中の一酸化炭素の濃度は、スモーカーライザーというごく簡単な道具を使うと一回深 呼吸するだけで簡単に測ることができるものですが、タバコを吸う人は、本数に比例して血液中の一酸化炭素が直線的に増えます。一日10本 吸う人は、非喫煙者の3倍くらい、20本吸う人は、6倍くらいといった案配です。一酸 化炭素が直線的に増えた分、血液中の酸素は減ります。脳は、体の中で大量の酸素が必要な場所ですから、酸素が減ると知的作業能率はぐんと落ちます。人の名前を覚える、迷路の出口を見つけるといった、記憶に関する能率も、明らかに落ちることが実証されています。また中風など脳血管障害は、喫煙で多くなることがこれまた統計ではっきり出ています。タバコをやめると、脳血管障害が減ることも、わかっています。今からでも、遅くない!

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